謎のブログ

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理系離れを食い止めろ

 57ヶ国の国・地域に住む15歳の男女約40万人を対象にした国際学習到達度調査(PISA)で、日本の順位が下がったらしい。

 PISAってのはそれぞれの国で数学的応用力・科学的応用力・読解力がどれぐらい到達出来ているか調べるテスト。順位は国ごとに出る。

 2000年から3年おきに行われるこのPISA、日本の順位は初回→2回目→今回の順で、

数学的応用力 1位→6位→10位

科学的応用力 2位→2位→6位

読解力     8位→14位→15位

となっている。特に数学的・科学的応用力の低下の酷さに、「子供の理系離れが原因ではないか」等と報道されていた。

 テレビニュースでも聞いていたが、今月8日にたまたま行きつけの喫茶店で読売新聞を読んで再度その問題について認識したわけだが、その紙面構成に思わず笑ってしまった。

 平成19年12月8日(土)読売新聞東京版38面の紙面構成なのだが、

紙面右側に識者による学力低下・理系離れ阻止の対策についての意見が、

紙面左側にワープロ変換機能を発明した元東芝社員の天野真家氏が東芝に対して発明の対価2億6000万円を請求したと言う記事

が載っていたのだ。

 理系離れの問題定義とその答えのひとつが同じ紙面に載っていたわけ。

 

 理系の大学を卒業し、大発明をしてお金持ちになった日本人は一体何人いるだろうか?

 この時期、誰もが目にする青色LEDは日本人の発明だ。

 しかし、発明当時、発明者の中村修二氏は日亜化学工業の研究員であり、発明に対しての対価は社内規定の微々たる報奨金しか貰っていなかった。このような企業の研究などで発明されたものは職務発明といって、特許権はその企業が持つことになる。

 日亜化学工業はこの青色LEDによって莫大な利益を得た。

 そして、この青色LEDによってLEDディスプレイはフルカラー発色を実現できるようになり、ノーベル賞ものの発明とさえ言われる。

 にもかかわらず、中村氏が訴訟を起こさなければ少ない報奨金でしか発明の対価はえられなかったわけである。

 確かに、研究設備・費用・人員はどこからでたのか?といわれれば会社からだ。だから特許を会社が保有し、利益を得る事に関しては当然だとおもう。報奨が少ないのも、発明の全てが莫大な利益を生むわけではない事を考慮すれば頷ける。

 しかし、東芝日亜化学工業の他にも元社員が所属していた会社に対して自らの発明の正当な対価を求める訴訟は存在する。

 訴訟を起こさなければ、研究者は世紀の発明をしてもお金持ちにもなれなければ有名にもならない。正当な対価すら得られない。

 

 私が大学受験を目指した頃は、まだ宇宙開発に夢があった。

 今やその宇宙開発も予算を削られたりして、先行きが芳しくない。

 世紀の大発明をしたって大金持ちになれるわけでもなし、有名になれるわけでも無し、大学の研究室では十分な施設と費用がないから思うように研究も出来ない。

 なんだか夢がないのである、理系の行く手には。

 さらには、どうにも「理系」というと「オタク」といったネガティブイメージがあったりして倦厭されている気もする。

 

 子供達の周りには、理系への扉は沢山ある。

 どうして雨が降るのか?

 どうして液晶画面は映るのか?

 どうして線が繋がってないのに携帯電話はしゃべられるのか?

 どうしてテレビは映るのか?

 どうして自動車は走るのか?

 どうして魚は卵から生まれるのに人はお母さんから生まれるのか?

 どうして電子レンジで物が温まるのか?

 今日もたくさんの子供達が科学への扉をきっと開いているはずだ。

 私としては、開いたその先で大人が

「そんなことは受験に関係ないから無駄なことは調べなくていい」

と閉ざしてしまったり、研究者の実態を知って途中で来た道を戻って扉を閉ざしてしまったりしないことを願うだけである。

 自分が子供にその「どうして?」を聞かれたときに、理系分野に興味をもってもらえるような答えが出せるようになりたいとも思う。わからなくても、一緒に調べたりしてね。

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