さて、公演も終わったことだしまとめでも書くかな、と思ったんですが、生徒も全力だったでしょうが、私も全力で突っ走っていたので頭真っ白状態ですw
頭の中で文章が構成できないにょろ・・・orz
そんなわけで、つれづれままに・・・
全体的な雰囲気は、以前に月・宙でやった「THE LAST PARTY」に色彩が同じですね。なので、既視感バリバリだったりしますが、ラスパよりもグッと大人の芝居に仕上がっています。
作品本編が華やかさにやや欠けることを意識してか、オープニングは華やかに格好良く、スタイリッシュな演出で客席を引き込みます。そういう手腕が植田景子先生は憎いですね。映像の使い方が絶妙です。あの使い方は抜群にいい。
そして、一歩間違うと宝塚ではなく、昼ドラの泥沼になりそうな設定を上手くぼかしてぼかして美しく見せかける脚本にも感心しました。その辺りは、また別記事にて。
何度も見ると、1幕が山がないせいか眠くなりましたが、2幕は怒濤の悲劇へ突っ走るので眠くなると言うことはなかったですね。
そして、フィナーレも良かったです。座付きは芝居の作・演出だけじゃなくてショーの作・演出も多少なりとも出来なくちゃいけないから大変ですね・・・。
さて、私が注目した脇役も含めて思いついたままに各役について
ステファーノ・グランディ【大空 祐飛】
イタリアの新進気鋭の映画監督。もとはハリウッドにいて、恋仲だったローズと8年ぶりに再会し、8年前の別れは決してローズがステファーノから心が離れたからではないと知って、焼けぼっくいに火がつくと言う役所。
いやぁ、焼け(木杭)ぼっくいに火がつくってこういうことを言うんですね、と言う見本のようなw
大人の色気、と言う意味合いにおいては素晴らしかったユウヒさんですが、そのせいか感情が抑えているようで、別れたときにローズはステファーノからリチャード(ローズの夫)へ心変わりしたのではないと知った後の感情の吐露はもっとあって欲しかったです。
「大人」である男が抑えられない恋愛感情、ってのがこの芝居のキモだとおもったので。
ただ、前楽にみたときには、その辺が改善されて1幕のラスト、別れたときの真実を知った辺りの緊張感と知った後の熱が感じられて、ローズの肩に手を滑らせる仕草が何とも言えず官能的でした。が、そこで即暗転するのが宝塚ですなww
リチャードのソロに被るところでも、最初の頃は
「真実の愛が幻の愛に負けてどーすんだぁぁぁ!!!」
という感じでしたが、前楽は完勝でした。よかった。
まあ、主役は歌が多いから全部が全部に全力投球ってわけにいきませんからねぇ・・・。逆にリチャードは歌はそこぐらいだから全力投球だけど。
全体的に、「エロ格好いい大空祐飛」としてはピッタリの役だったと思います。
花組でも頑張って欲しいです。組の雰囲気には合ってると思うんですけど、どうでしょうか?花はアダルトなイメージがあるので。
ローズ・ラムーア【城咲あい】
ステファーノの元の恋人で、ステファーノを捨ててハリウッドの帝王リチャード・ローガンと結婚することで女優としての成功を手に入れた女・・・と書くと、とんでもない悪女のように思われそうな難しい役所を、内面の純粋さを出すことで上手く「不器用で可哀想な女性」に変えていました。
持ち前の大人っぽい美貌が「ハリウッドの大女優」という役所にぴったりでした。ただ、そのあだっぽさが、下手をすれば先に述べたように悪女に見せかねないところを上手く回避していて、さすがは宝塚の娘役さんだなぁ、と思いました。
それにしても、リチャードに道連れにされるのは当然の報いだよね。
や、私はそう思いますよ。
彼女は「愛すると言うこと」がどういう事か知らないワケではないのだから、リチャードの望み通りの女になることが愛する事ではないのは分かっていたはず。
最初から本当に「愛されたい」ただそれだけでリチャードと一緒にいたのなら、あまりにもエゴイストでしょう。孤児院育ちだからって許されるモンじゃないと思うけどね。ステファーノと付き合って「愛すこと・愛されること」を知っているのだから余計に。
とはいえ、そういう観点からかどうか分かりませんが、安易にハッピーエンドにしなかったあたりで、大人のドラマだなぁ、と思いました。
リチャード・ローガン【遼河はるひ】
ハリウッドの帝王。大手映画会社ゴールデン・エンパイア・ピクチャーズの大物プロデューサー。
手がけた映画は必ず大ヒットという、凄腕プロデューサーなわけで、ぜひ○映で茶○を手がけて欲しかったところですw
そんな彼は、何かと言えば腹心の部下のレイが伝令でやってくるので、出番が少ない割にこの芝居の悲劇の大元凶と言いますか、悲劇のデパートと申しますか・・・。
一見、マザコンだと思ったのですが、よくよく見てみるとエディプスコンプレックスに強烈に縛られたままの人ですね。簡単に言えば、母を得ようと父を敵対視するのをエディプスコンプレックスというわけですが、普通は父ちゃんがちゃんとした人ならそのコンプレックスは無意識の下におかれて離脱するんです。
が、母は父のせいで薬と男に溺れて理想の母ではあり得ず、それでも愛していたのに浮気性の父のせいで非業の最期を遂げてしまった。彼にとっては、「理想の女=理想の母」を得て、「父親を超える=理想の夫婦になる+仕事でも父を超える」ことによってそのコンプレックスから離脱したかったのだろうな、と。
だからこそ、手がけた映画を成功させ、理想の女性=ローズとの夫婦仲を完璧のものとしたかった。そうしないと自分が保てなかったんでしょうね。
そのあたりが、少ない出番で全部分かるんですよ。
もちろん、周囲がそれを説明してからリチャードが登場するのですが、登場したその瞬間から、「リチャード」そのものを体現しているんですよね。
それに、父親の居る場面と居ない場面では態度・挙動が明らかに違う。そのあたりで、父親が相当なコンプレックスになっていることもわかる。
ワールドプレミアの前夜(?)レイと二人になったときに、
「私のことを卑怯だと思うか!?」
と取り乱して絞り出すように言うシーンは名場面だと思います。それに対するレイの冷静な言葉に気持ちを静めるあたりも、それまでの二人の関係を物語っているようでした。
最後、ソロのところで彼の心情が歌われるのですが、切なくなってしまいます。歌はあまり得意ではない生徒ですが、感情がこもっていて良い歌になっていました。
非業の最期は・・・リチャード様らしい判断だと思います@レイ
遼河はるひは、芝居の月組の名に恥じない生徒だと私は思います。
素敵な腹心レイを演じる越リュウにメロメロでした、わたしw
本当に格好いいんです!!!!静かに立っているだけでカッコイイっ!!
長年、リチャードを支えてきた感じが違和感なく伝わってきます。リチャード亡き後もリチャードの思うように行動するレイ・・・。一番号泣したいのはこの人じゃないでしょうかね。
真相を知りながら・・・きっと墓場までその真実をもっていくんだろうなぁ・・・。
フィナーレでは自然と越リュウさんに目が行ってしまい、あひちゃん(遼河)が登場したのをうっかり見落としたことがあるのは内緒ですw
ヘッダ・ホッパー【憧花ゆりの】
今回、大活躍!!
ゴシップ記者と言う、いわば狂言回しの役割でした。
説明も説明くさくなく、食わせ物的な役回りで話を盛り上げてくれます。個人的に好きなのは、暗転前に静かに
「本番、スタート」
と、わざとらしく言う場面。あれ、大好きです。
そして、リチャード夫妻の飛行機事故についてリチャードの父ウォルター(磯野千尋)に真相を聞き出そうと丁々発止する場面の緊迫感も素晴らしかった。そして、
「私たちは真実が知りたいの!!」
の叫びも心の底からの叫びで、いかに飛行機事故が不自然な物かを物語っていて、そのあとに続くレイや父親の台詞に深みを与えていましたね。
たぶん、ヘッダ・ホッパーの真相を追求する厳しい言葉がなかったら、ウォルターの
「息子が死んだんだ!」
の台詞では泣けなかったんじゃないかなぁ。いかに磯野千尋さんが名優だったとしても。
憧花ゆりのちゃん、これからも大注目です。
他にも、きっとステファーノやリチャード、ローズが夢見ただろう夫婦の鏡のようなビリー&マギーを演じた桐生園加&花瀬みずかも良かったです。
園加って芝居と歌は・・・ってイメージだったのですが、今回そういう不自然さが格段に減ってましたね。ま~、歌は心で歌っていたから片目つぶっておくべw
違和感なく、仲良し夫婦でしたね。ホントに。
それと、サム役の麻月れんかも頑張ってました♪
モニカ役涼城まりな、いい女だ~。こんないい女を振るなんて勿体ないぞ!ステファーノwwそれぐらい、いい女でした。
オネェマンズなベン役姿樹えり緒も良い味出してました。ただ、歌が歌いにくそうだったね(^_^;)
ほか、書いてるときりがないぐらい皆さん一人一人が光っている良い舞台でした。