本公演の感想も書いていないのに新人公演の感想かよ!って感じですが、実はこの「Never Say Goodbye」という作品にガッつり嵌り込んでしまってなかなかうまく感想が書けないんですな。 そんなわけで、とりあえず新公の感想を先に
演技がやはり未熟ではあるし、なんたって若い印象がつよい。さすがにこればっかりは年季の問題だから致し方なし。本役が非常に細かい演技を加えて役にリアリティを持たせているのに比べて、どうしても台詞を言うこと決められた動作をなぞるのでいっぱいいっぱいなために役が生きてこない危険性があるが、熱演でうまく乗り切った。これはこれで、こんなジョルジュもありかな、と。
歌は音程が怪しいところなどあったが、思ったより聞けた。本役の歌唱法を過度に意識しなかったのがよかったのか?歌い込めば結構歌える役者になりそう。
惜しいのはやはり身長か・・・。 相手役との身長差があまりなく、キスシーンがちょっと格好良く無くて残念。
花總のコピーと言われるアリスちゃん。全体的に細くて小さいイメージがあるので「ミニ花總」だった。演じ方、歌い方も真似ているのか自然とそうなるのかそっくり。
しかし、存在感や落ち着き、役の厚みまでは真似しきれずヒロインにもかかわらず印象がかなり薄い。子供っぽくならないように気にしすぎていたのだろうか、沈んだ印象だった。化粧もやや本人に合わず浮いている気がした。
歌は及第点。ただ、もっと伸びやかに歌った方がよいかな?
今回の新人公演大穴生徒。 歌は本役よりうまいし、落ち着きがあって信念をもった『不屈のマタドール』にぴったりの演技。
もちろん、華は本役に負けてしまうが、このヴィセントはヴィセントで十分に話を作ることのできる役になっていて、このまま本役としてやらせてもいいんじゃないか、と言う気さえする。大和と違ったヴィセントでおもしろいのでは?
残念なのはダンスで足があまり上がっていないこと。そして、やはり本役に比べてインパクトに欠ける。それでも、マントを振って踊るところではなかなかに魅せる踊りを披露してくれた。 これからが楽しみな生徒。
えー、お歌は本役よりうまいです・・・。ううむ。困ったもんだ。 ただ、綺麗に歌ってしまうので悪役としての癖があまりになさすぎて物足りない感じなのが残念。
台詞はドスのきいた声が出ないのか、やはり悪役として存在するには正直厳しい。重厚感もなく、さわやかな党幹部になってしまっている。
そうは言っても、落ち着いた演技でそれなりにジョルジュたちを威圧して悪役としての役目はそれなりに果たしてはいた。
今回で新公は卒業の期。主演はすでにやっているし、キャリアアップにはもってこいの役ができてよかったのではないだろうか。(悪役は難しい)
それにしても、綺麗な顔しているなぁ・・・。
歌は結構歌えている方かな。しかし、かわいらしい顔立ちが強調されてしまい、大物女優というよりは大物子役な印象を受けてしまった。
ラ・パッショナリア(葉室ちあ理 本役:和音美桜)
高音部の不安定さを除けば、うまい。歌い込めば十分本役としてもやっていける。
アニータ(和音美桜 本役:毬穂えりな)
歌に申し分なし。さすがに若いアニータになってしまっており、占いの重みが若干薄れてしまってはいた。しかし、演技も悪くはないし、普通に娘らしいヒロインをやらせてみて欲しいと思うのだが・・・。本公演でもちょっと大人っぽい渋い役だからなぁ。
マーク・スタイン(美牧)コマロフ(暁)パオロ(八雲)
おっさん3人衆(笑)は3人ともなかなかの出来。歌もよかったし、新公だとこのあたりの組長・専科の役は若すぎてガタガタな感じがするのだが、あまり違和感がなかった。
あなた方3人、是非脇を支える芸達者になってくださらんか・・・。最近、渋い脇系が少なくていかんよ・・・。
あと、目についたのはビル(鳳翔)かな。こちらは何となく。 全体的に本役よりもインパクトは弱くとも、熱意と気迫で一つの作品を演じきっており、なかなかによかった。歌や台詞なんかが壊滅的な生徒もあまりいなかったし。
初めて新人公演を見たわけだが、本公演で台詞や歌をもらっている生徒とそうでない生徒の差が発声に出ていて驚いた。いかに板に乗って発声することが大事かという証明のような気がした。
全体として一つの作品としてちゃんと見ることが出来、宙組の下級生の底力が見える、いい新人公演でした。