なんかもう、夏休みの絵日記を8月31日にあわててまとめて書いてる小学生の心境です(笑)何とかかんとか書けましたので、最終観劇日の記事としてアップすることにしました。なんだか書き切れてないんですけどね。
宙組が誇るゴールデンコンビ和央ようか・花總まりの退団公演。
この公演はそれだけでも十分話題になるわけですが、更には劇団の演出家の脚本にミュージカル「ジキル&ハイド」で有名な作曲家フランク=ワイルドホーン氏が全曲を作曲すると言う、日本初の試み。
脚本に関して言えば、「小池のオリジナルはいまいちだ」と言う話があるんですが、いまいちって言うか、無難かなぁと。大きく破綻しないし、一回見れば内容は理解できるし、当て書きも上手くできてるし。
ただ、メッセージ性とかストーリーで感動させる事に置いては希薄ではあるかも。泣かせよう、見るものの心に何か残そう、と言うよりも「和央をはじめとする宙組の力量をいかに観客に見せようか」と言う点に重点が行ってる気がしました。
話に感動するのではなく、宙組に感動する為の作品かもしれません。
ミュージカルとしてそれはどうよ、とは思うかもしれませんが、宝塚的には正しい・・・のだよ、たぶん。
そうそう、ストーリー的に感心した点が一つ。
題材に取られているスペイン内戦については詳しくないのだけど、この作品を見れば「あーこりゃフランコに負けるわ、共和国」というのが感覚的にわかります。おまえら内部分裂してる場合か!?ってのがひしひしと伝わってくる。
アギラールという役が悪役的な扱いで出てきますが、実際には彼の言ってる「一つの軍隊が必要だ」と言うのは戦略的に正しかったりする。でもそいつのやり口がよろしくなくて・・・という感じで分裂構造がわかりやすい。
もちろん、研究者なんかが見れば物足りなかったり史実と少し違ったりするかもしれませんが。
曲がとにかくよかった。
いつもなら和央の主題歌ぐらいしか心に残らないけど、この公演に関してはすべての曲が印象的で心に残った。
しかも、普通ならソロパートなんて貰えないような子がソロ部分があったりして、「この子こんな声なんだー」なんて言う発見があったりして良かったです。
各生徒について言えば、和央ようかと言う人は、コスチュームプレイも合ってていいのだけど、私はどっちかというと、現代劇に近いいわゆるスーツものの方が彼女の持ち味を遺憾なく発揮できると思っています。自然体が売りの彼女の格好良さが一番出るのがスーツものではないかと。
そういった意味では今回の演目は第1次世界大戦後の頃の話で、現代物といってもいい。
ジョルジュというプレイボーイの割には純でまっすぐな性格も彼女に似たとこがあり、まさにはまり役でした。
また、キャサリン役花總まりもこの公演で退団だったわけですが、いつものお姫様的な役ではなく、地味ではあるが芯の強い内面から光る事を要求される役所がまた彼女そのものに近い存在だったかな、と。ファンのなかには、やはり豪華な衣装を華麗に着こなす花總まりを見たかった、と言う意見もあったようですが、私はそんなものよりも今回の役の方が見れて良かったと思っています。
まあ、確かに豪華な衣装を着られるのは宝塚ぐらいですから、そう思う気持ちもわかりますけどね。
あと、宙組二番手大和悠河。
闘牛の道をあきらめて内線に身を投じ、主人公のカメラマン・ジョルジュと親友になると言う役。正直、話の絡み具合や進行に重要かどうかという観点で言えば、それほどのウエイトがあるわけではないので下手をすれば目立たない沈みがちな役だけれども、持ち前の華と存在感で沈まずに演じていました。
そしてなにより、歌が上手くなっていた!
いえ、大劇場公演の時期にはまだ、がなるような歌い方で音程は昔より取れていてもそれ程上手はなかったんです。それが日に日に良くなり、結構良い感じになってきて、最後の方では少なくとも「音痴」のおの字も見あたらないぐらいにまでなっていました。
かなり努力したんでしょうね。驚きました。
そして、今回の公演で一番成長して一番目立った(もちろん、トップを除いて)のが3番手遼河はるひ。
フランシスコ・アギラールという、政府側の人間であり主人公たちに対立する側の人間であり、主人公の恋人にちょっかいを出す敵役的な役割を果たすいわば「黒い役」。役としては、やはり悪役のような役は難しい。
正直言って、大丈夫なのかと心配しました。元々押し出しが弱く、何か一芸に秀でているタイプでもない。端整な顔立ちと体格の大きさが他より抜きんでてるぐらい。何か良いものを持っていそうな感じはずっとしていたんだけど、それがイマイチ前に出てきていない、そんなタイプの生徒だったので。
しかも、曲がやたら難しいナンバーが初っぱなに出てくるときた。高音で歌ってすぐに低音で台詞、その繰り返し・・・。
やはり大劇場公演のはじめはボロボロだったようで、私が見た中日当たりでも声が裏返ったりすることが頻繁にありました。
それに、かなり存在感もあってよかったんですが、はじめの頃はやっぱり迫力がイマイチでなんとなくへなちょこ加減が悪役っぽいという、良いんだか悪いんだか、な感じでした。それでも、かなり頑張っているのはよくわかったし、はまり役であることには間違いがなく、結構ツボにきましたね。
それがまあ、東京公演になったら化けたこと化けたこと。
歌もこなれてきたのもあるけれど、なによりその重圧感や存在感、力強さが段違いに強まっててジョルジュと真っ向から対等に対立しているじゃないですか。トップの存在感に負けてないって凄いぞ。
もうかなり、アギラール萌え萌え状態(爆)
もう、半分は和央ようか目当て、更に半分はアギラール目当てと言うぐらい、アギラール見たさに観劇しているぐらいでした。
本当にかなり化けまして、ファンの数も結構増えたみたいですね。
この公演で一番成長したで賞をあげたいぐらいです。
あと特筆すべきはラ・パッショナリアの和音美桜、市長の風莉じん、アニータの毬穂えりな。みんなとにかく歌が上手く、場面場面を良く引き締めていました。
ほかに密かな見所は、オリンピアーダの開会式のリハーサルが凄く綺麗。マタドールたちの踊りもかっこいいし、フラッグを使ったダンスも2階席から見ていると本当に綺麗で凄かったです。
それから舞台装置もなかなかよく、教会の窓からのライティングが非常に幻想的でラブシーンの雰囲気を美しく彩っていました。
いや、ほんと、他にもまだまだ書ききれないぐらいたくさんの良いところがありました。何回でも見たい作品です。
たかちゃん(和央)も最後の作品がこれで良かったんじゃないかな。