まず、デパートの中の劇場で見る、デパートにかかわる人々のハートフルなお話し。と言った感じでそこに面白味を少し感じました。
劇場、ワザと三越劇場を選んだのかしら?
だとしたらベタだけど良いセンスだわ。
三越劇場は古い感じの豪華な作りで、小さい劇場ながら感じの良い劇場でしたね。
さて、お芝居ですが、突っ込みどころが結構ありながらも、なかなか良いお芝居でした。
まず、副題に「7日間」となっているのにお話しは実質は2日間という(笑)
いくら原作が7日間でも、そこは著作権者に掛け合って「2日間」にしろよと(笑)
まあ、目くじらたてるほどの穴じゃないので笑いのネタですけどね。
そんなわけで、原作は浅田次郎の小説「椿山課長の七日間」です。これ、映画にもなってるらしいですね。
先にも話したとおり、舞台の制約からか実質二日間のお話しです。
Wikiのあらすじを見たら、かなりお話しも整理されているようです。結構スッキリした人情話になっていたように思いました。
で、第二の突っ込みは主人公の椿山課長(男)が「和山 椿」と言う美女になって二日間よみがえるワケですが、椿が女言葉なんですよ、登場シーンが。
当然、中身は椿山課長なんだから見ている側にすると椿山課長が女言葉を使っているように思えて不自然なんですよね。
行動とかは時々椿山課長の仕草が出るのに、話し言葉だけは殆ど女言葉。
友人と話したんですが、しゃべり言葉も誰も見ていないところでは椿山課長が出て、人前だけ女言葉の方がスッキリするよね、と。
そこがちょっと引っかかりました。
しかし、話全体はとても良いお話しで、特に子役には泣かされました。
「お父さんは仕事ばっかりで可哀想だ」
なんて、あんな可愛い子に言われたら親じゃなくても泣けますよ。
ちゃんと、「ありがとうと言いたくて」というタイトルに沿ったお話しで、その辺は脚本家の力量を感じました。
俳優陣も良かったです。
う~ん、素晴らしい・・・までにはもう一歩かな。全体的な話ね。
椿山課長役の三波豊和さんは良い味を出す役者さんですね。椿山課長のキャラが十分に立っていたし人情味あふれてて本当に泣かされました。
それから、お気に入りだったのが中陰役所の姐さん・・・もとい、マヤさんを演じた淡路恵子さん。ラメ入りの白いパンツスーツに白いボブカットの髪が素晴らしくお似合いで、演技は「あー、舞台っぽいな」という若干不自然さのある感じだったんですが、それがまたいいんですわ。浮世離れしてて。
マヤさんの出るシーンがとても楽しみでした。あと、マヤさんと一緒にいた役所の男性役の方もうんさん臭くて良かったですね。
そうそう、課長のお父さん役の方も良かったです。素晴らしかった。
暖かみのある、良いお父さんでした。そして、このお父さんがいるから椿山課長が居るのだという説得力があった。
厚みのある素晴らしい役者さんですね。
んで、椿山課長の奥さんの不倫相手、島田役の方は・・・発声が超舞台発声でかなり不自然でした。どう言えばいいのかなぁ。もちろん皆さん舞台発声ですけど、自然な感じを殺さないような、もっといえばテレビドラマのような感じの演技なんですけど、ひとりだけ超舞台なんですよ。そこだけがちょっと舞台の構成を若干損なった感じがして残念でした。
ただ、舞台発声って最初に所属した劇団のやり方が抜けない物らしいですからね。何とも言えませんね。
そうそうそう!!椿役の方の存在感は凄かったです。ありゃパワフルだ。椿山課長が中にいるという事に不自然さを感じなかった!!
そして、脇役の使い方が贅沢。
普通は、脇役は何役か掛け持ちするものだと思うのですが、せいぜい二役しかみんなやっていない状態。その二役もほんのちょっとずつ。どう考えても三役ぐらいは掛け持ちできるんじゃね!?と思いました。
たぶん、二役ぐらいしかみんなやってないと思うんだけどなぁ・・・パンフレット持ってないから全員がそうとは言い切れないけど。
なんだろう、ちょっとでも多くの役者を舞台に出させて上げるためなのかなぁ・・・。その辺りの事情は良く分かりませんけど。
そんなこんなで、誘われて演目も知らずに行った割には、なかなかの拾いものでした。
こういう、しみじみと良い芝居というのも良いもんですね。