アメリカで警察官の黒人差別についてデモが起きましたが、アメリカにおいて人種的地位の順番が、白人>黒人>ラテーノ(もしくはヒスパニック)>アジアと聞いたことのある当方としましては、黒人でそんだけ差別されるなら日本人なんか虫けらか?と眉をひそめる次第。
そんな中、たまたまカンバーバッチさんが出ているというだけで見たドラマが黒人差別を真っ向から取り扱ったものでした。
舞台はイギリスですが、差別の根っこは同じではないかと思うのです。
主人公は一応、黒人女性(英国領ジャマイカ出身)のホーテンスとロンドンに住む白人女性クイーニーになるのかな。
この女性二人を中心にして第二次世界大戦下から大戦後のイギリスを描いた作品。
ホーテンスは頭が良くて、大いなるイギリスの教壇に立つことを夢見る女性。
イギリスにわたるためだけに、同じジャマイカ出身で英国軍で軍人として戦ったあとにジャマイカに戻ったギルバートと渡英費用、そして渡英後に自分を呼び寄せる条件を引き換えに彼と結婚する。
クイーニーは戦争で夫が行方不明になってしまう。(その夫がベネ様なわけ)
そして、黒人をまるで差別しない彼女は、ジャマイカから英国空軍に従軍していたマイケルと恋に落ちる。
そんな書き出しで、さらっと静かに恋愛模様やら人間ドラマを描きつつ自然に差別されるジャマイカ人の姿を描いていく。
押しつけがましくなく、自然にみられて、なおかつ「なぜ、肌が黒いだけでそんなに差別しなくてはいけないのか?」という疑問を抱かせる秀逸なドラマ。
なにしろ、ホーテンスにしろギルバート、マイケルと出てくる黒人はみんなちゃんと英語が話せるのだ。言葉ができないから差別する、と言うわけではないしホーテンスは教師の資格を持っているぐらいなので、教育だって行き届いている。差別される理由がない。
ジャマイカは英国領。なので、彼らだってイギリス人でもあるわけで、なぜ差別を受けなくてはならない?戦争に駆り出して利用するだけ利用しておいて。
そんな疑問を押しつけがましくなく見せるというのは凄いことだと思う。
以下ネタバレ↓
クイーニーの夫は結局戻ってくるのだが、黒人を差別する。
マイケルとクイーニーの子供の父親になる、などと彼は口先ではいいことを言うのだが、心の底では黒人を蔑んでいることをギルバートはしっかりと見抜いた。
クイーニーもそれを見抜いて自分の子供をホーテンス達に預けたんだと思う。
なぜなら、彼女はその子が石を投げられて窓を割られるようなことそのもので傷つくのではなく、「そんな目にあったことで怒るあなた(夫)を見て自分のせいだと思う」と言う言い方をするので。
その、いやな男をまたうまく演じるんだ。ベネ様。
あと、降ってわいたようなラッキーがないと彼らは這い上がれないのだということも、考えさせられる。
けど、最後はハッピーエンドなんで見た後いやな気分にもならないのも高ポイント。
ぜひ、見てほしいDVDです。
なぜ懸命に生きる彼らが差別されなくてはならないのか。
今一度、考えなくてはならない問題だと思う。