本当はまず、ライオンキングが見たかったのですが、何せ夏休みで餓鬼どもがわんさといそうだなぁ、と思ってはじめからエビータ狙いで四季劇場に行きました。そしたらば、私の前に当日券購入のために並んでいた人がライオンキングをご所望で、聞き耳立ててたら・・・
「本日高校生の団体がいらっしゃるのですが、よろしいでしょうか?」
あっはっは・・・(乾笑)いやあ、まさか高校生とは。でも、併設のカフェに餓鬼がちょろちょろしてたので、間違いなくチビは観劇していると思いますね。
そんなわけで、ライオンキングは来年までやっているので、9月で終わってしまう「EVITA」を観てまいりました。
これはかなりいい!
何よりもキャストが素晴らしい。四季は主要キャストであっても頻繁に変わることがあるけれど、この演目は主要キャストのエビータ・チェ・ペロンは変わらないので安心して観に行ける。
エビータの井上智恵はその確かな歌唱力を余すところなく発揮し、エビータの強さやしたたかさを上手く表現している。何よりも、エビータの扇動で民衆をペロンの側につけてゆく様は圧巻。いやあ、そりゃペロン勝ちますがな、と思わせる。
まあ難を言えば、エビータは「美貌」の持ち主なのにそうは見えないところか(智恵さんごめんなさい)。でも、決して不細工じゃないですよ。もっときれいに見せる化粧方法があるんじゃないかと思うんだけどね。四季女優さんの化粧ってちょっと地味じゃないかな。そこら歩いてるおねえちゃんのほうがよっぽど派手な気がする。
とにかく、舞台に立ってるその人はエビータ以外の何者にも見えません。これは凄い。
狂言回し役チェの芝清道。
歌がすげぇ。この人のおかげで一気に舞台に引き込まれます。狂言回しというのは癖のある食えん男な感じですが、その絶妙な癖のある男が見ていて惹かれずにはいられない。
とにかく、この人なしでは話は進まない!
ただ、四季独特の台詞回しがアテクシの肌には合いませんでした。なので、そのかっこいい歌でずっと歌ってくれているとアタシはご機嫌ですw
ペロンの下村尊則も味があっていい。
どっしりとした男らしい軍人さん風味なのにエビータにおされ気味でちょっと気の弱そうな感じが良。歌もいい。なんだかんだでエビータを思いやってる感じも素敵なペロンさんでした。
ちょっとがっかりだったのは、ミストレス役の子の歌と演技がいまいちだったのと、演出というか、脚本がどうかなぁと。
エビータがのし上がろうと野心を燃やしたのも、貧民層にばら撒き政策を取ったのも全て、自分の貧しい出自ゆえのこと。そのあたりの書き込みが甘すぎるので、エビータ像がはっきりしない感じがしました。もう、ほとんど役者の表現力に頼っている感じ。
貧乏ゆえに悔しい思いをした原体験=私生児ゆえに父親の葬儀にも出られなかった、を1場いれてもいいんじゃないのかなぁ、と。
エビータに表現力の薄い役者があたったら、目も当てられないぐらいこけますよ、これ。
もっともまあ、それを見越して表現力豊かな女優しか当てないんでしょうけどね。
もう一回観たいなぁ。
かなり一押し作品です。