謎のブログ

謎の生物(゚Д゚)@謎が書く謎のブログ。気の向くまま風の向くまま。

さくら/シークレットハンター(星組・東京宝塚劇場 5月24日18時30分公演)

 星組主演男役・安蘭けい、同組主演娘役・遠野あすか両名のお披露目公演。

 ってことで、トウコちゃん(安蘭けい)ファンの友人と行って参りました。

 今回は、宝塚の定番である『ミュージカル→レビュー』という順番を逆さまにして『レビュー→ミュージカル』の順番での公演。

 あれか?やっぱ和モノではラインダンス(ロケット)が作れないからか?やっぱロケットはダルマ(水着のような脚線を前面に出した衣装のこと)じゃなきゃダメだからか?

 それはともかく、今回は一竹辻が花と言う世界的にも有名な絞り染めの着物をこのショーのために新作を作ってもらったという事でも話題に。

 辻が花染め自体は江戸時代に消滅してしまった技法。それを故久保田一竹が一生涯をかけて研究し、現代に蘇らせたもの。今や芸術品の域で最高級品のひとつ。

 まあ、別段星組ファン・トウコファンで無くてもそれを見に行くだけでも良いかな、ぐらいの気持ちで『さくら』を見たわけですが、いやあ、想像以上に良かった。

 まず、いわゆる『チョンパ』と呼ばれる演出での幕開きに思わず感嘆の声が漏れる。

 チョンパというのは、真っ暗な舞台が「チョン!」と言う拍子木のあと「パッ!」と明るくなって客に舞台に勢揃いした役者を見せる、と言うものだと言うことは何となく知っていたけども、百聞は一見にしかず。ここまで感動的な演出とは・・・。

 和モノというと、「地味」という印象があるわけだが、それは芝居においてのはなしなんだな、と。なんとも豪華絢爛な舞台にため息。上品かつ豪華絢爛。洋モノの豪華さなんて目じゃございません。

 そして、和モノに付きものの松本悠里先生が日本人形のようで美しい!!!踊りも素敵でもう、眼福眼福。首の傾げ方ひとつ、歩みひとつ、袖の振り方ひとつ、どれを取っても気品があって違う。まあ、普段他の生徒はバレエとかダンスとか洋の踊りが中心だから、日舞ばっかりやっていればいい専科の松本先生に及ぶべくもないんだけど。

 でも、その先生と一緒に踊っていても「おーい、腰高いぞ~」という生徒は気にならなかったので、今回、みんな頑張ったな~。前に同じ星組の長崎しぐれ坂を見たときは「こらこらこら、先生をちゃんと見習いなさい」って感じの子が多かったけどね。

 レオンくん(柚希礼音)の立ち姿がちょい、腰高だったけど踊ったら気にならなかったし。

 そして、節句人形・花折の場面はコミカルで楽しい。

 特に節句人形は、「え~、お内裏様をそんな風に描いちゃやだ~」と思わなくもないけども、見てて楽しい。お人形さん達のドタバタはかわいらしくて面白い。

 なんだか、「久々に家族で楽しめる宝塚だな~」と思った。最近そう言うの少なかったしな。「さくら」は宝塚の原点と言っても良いかもしれない。家族でも楽しめる健全な舞台、それが小林一三先生が目指したものだから。

 一竹辻が花、やっぱ素敵。あれ、次の星組公演を大劇場で見ないと近くでは見られないのかな?(宝塚大劇場併設のプチミュージアムで前回公演の衣装を飾るため)

 ぜひ、東京でも展示して欲しい・・・。

 さてさて、演出家・児玉明子の本公演お披露目でもあるミュージカル「シークレットハンター」・・・。

 私は、児玉明子食わず嫌い・・・。例え大好きな和央ようかの公演であってもDVDを持っているにもかかわらず、1回も見ていない。

 少しは良いところが発見できるかしら、と思ったんだが・・・。

 何の拷問かと思ったわ、正直。

 なんか、話がぶつ切りっぽいというか、いや、もう、苦痛すぎて苦痛の原因を探るのもキツイぐらいの苦痛。

 トウコちゃんのダグはなかなか良い味出してるし、アスカちゃんは可愛いし演技上手い。学年も歳もトウコちゃんより大分下にもかかわらず、ダグの悪友セルジオ役のレオンくんもちゃんと「友人」に見えて、若いのに凄い子だと感じた。しぃちゃん(立樹遥)や、すずみん(涼紫央)も素敵。

 役者に文句は全くない。むしろ、みんな良い役者さんだな~と思った。

 でも苦痛。

 駄作と言われた月組の「パリの空よりも高く」よりも苦痛。

 たぶん、このミュージカルに自分の贔屓が居ても苦痛だったと思う。

 苦痛の原因、なんとか考えてみるに、おそらく「場面がぶつ切り過ぎて頭の中でストーリーが流れていかない」事にあると思う。

 パリ空も大分退屈できつかったし、「おい植田、○○のシーンはないんかい!」「いきなり3年も時間過ぎてるんかいな!!!」と突っ込みどころ満載だったが、逆に言えば話のアラが分かる程度には頭の中で話は繋がっていたのだと思う。だから、「自分だったら、ここをこーするのに」「こう言うエピソード入れるのに」と言うのがあった。

 しかし、シークレットハンターはその突っ込みを入れられないぐらい場面がバラバラ。一応、話の概要を書けと言われれば書けるから話自体は筋が通ってるんだろうけど、舞台としては訳が分からない。

 児玉は筋書きは書けても脚本は書けないんじゃないか?

 オリジナルじゃなくて、シェイクスピアとかオペラとか小説とかを原作とした作品をきちんと舞台に掛ける事からやり直した方が良いんじゃないか?下手な小細工いらんから。

 もう一回バウからやり直せ・・・。

 でもまあ、結構目新しい演出とか、ロケットのギミックなんかかなり良かったから、ある意味さっさとショー作家にした方が良いもの作りそうな気もしなくもない。

 ほんと、フィナーレに入るまで拷問だったよ・・・。蜷川見てるよりキツかった。

 蜷川の苦痛は意味のある苦痛だが、児玉の苦痛は意味がない苦痛だ。

 しかし、レオンくんがあそこまでキチンと任を果たしてるとなると、星組って贅沢な組かも。トリプル2番手?的な。

 しかも、しぃ・すずみんはきっちり脇を固められる人だしなぁ。

 あと、トウコちゃんは立派なトップさんでした。

 普通、成り立ての頃って頼りなさがどこか漂うモンなんだけどね。さすがです。

 児玉の拷問が無ければもう一回ぐらい見たいんだけどなぁ・・・。

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