謎のブログ

謎の生物(゚Д゚)@謎が書く謎のブログ。気の向くまま風の向くまま。

まつさをな(演劇集団キャラメルボックス・サンシャイン劇場 4月27日19時公演)

 2007年スプリングツアーってことで、4月に行った公演の感想を今頃。なので、忘れている部分も多いんでその辺のところを考慮の上お読み頂ければ幸いです。

 キャラメルボックスの幕末劇ということで、黒船来航あたりの時代の小田原藩家老一家を中心とした笑いあり、涙ありのお芝居。

 今回は劇団☆新感線粟根まことさんが客演で家老・青柳徳右衛門役を好演。

 いやあ、劇団によって色ってあるんだな、と関心。予習せずに行ったので、何役が誰とか言うことは全く知らずに行って、前座の諸注意で役者さんが「今回は劇団☆新感線から粟根まことさんに客演をお願いしております!」という台詞で知ったぐらい。

 なのに、出てきた瞬間に「あ!これが粟根さんだ!」とすぐわかる。

 キャラメルの役者さんと色が完全に違う。

 これがまた、演技がおもしろいのなんのって。突き抜けて面白いのに、徳右衛門の妻・万寿江役の坂口理恵さんをはじめとする役者みんながしっかり受け止めててキャラメルの中から浮かないんだから、これまたキャラメル役者も粟根さんも凄い。

 キャラメルと言えば、私の中じゃ「ガチ格闘」と刷り込まれてしまっているんですが、今回も殺陣が凄かった。

 1㎝以内で太刀筋を見切ってんじゃないか!?

 それぐらいギリギリで斬撃を避けてみせる。もちろん、それが真剣ならばバッサリ身体が真っ二つだろうと言うぐらい本気のスピード。例え竹光でも、当たればタダではすまない勢い。

 主人公・千鶴役の女の子温井摩耶ちゃんも男性陣に負けじと殺陣やってるから驚く。もっとも、さすがに女の子としての限界かスピード面や見切りで若干物足りなさは残る。でも、あれだけやれればいいんじゃないかな。

 

 さて、脚本・演出面では、若干の中だるみが気になった。

 ちょっと役者陣のギャグや面白みに頼りすぎてる感じがしなくもなかったものの、話が進み出せばそこはそれ、また芝居に引き込まれたけど。

 あと、舞台にはいない、青柳啓一郎の死んだ姉・季江の印象が薄くて、ラストの静馬の独白がリアリティに欠けてしまったのが残念。季江に似た千鶴(似ていることから青柳家の養女になる)に青柳家全員が遠慮する優しさが季江像の説明不足に繋がり、芝居的には仇になった感じか。

 もうちょっと、静馬に季江の事を語らせても良かったかも。

 しかしながら、静馬役・大内厚雄さんが持ち前の存在感と渋味と演技力でカバー。静馬の独白、思いっきり泣けた。

 観客には静馬が犯人だと分からせていながら、舞台上の人物達は静馬の口車に乗せられて千鶴を疑うという構図が、何ともハラハラドキドキで上手い。後半は文字通り手に汗握らせて貰った。

 役者さん的には、温井ちゃんの頑張りは認めるけど、主役はキツイかな、と。大道芸の女剣士のときに低い声で見栄を切ってみたりするけど、何か無理してる感があるし、青柳家の養女になってからは落ち着き過ぎちゃって、「千鶴ってそう言う子だっけ?」とおもってしまう。はしゃぐようなシーンは声を張り上げてて無理してる感が否めない。

 もしかしたら、千鶴の性格が温井ちゃんには合わなかったのかなぁ。

 まあ、超ガンガッテルのはよく分かったので、温かい目で見るか。

 千鶴の相手・青柳啓一郎役の岡田達也さんは、超個性的な父・母、使用人らに囲まれているにもかかわらず、誠実かつ実直な堅物を周りに引きずり込まれることなく演じていて、「啓一郎」という人物がいかなる人物かが良く伝わってきて○。若い温井ちゃんを良く支えていたと思われ。

 それから、前回「少年ラヂヲ」では主役を張った畑中智行くんは、今回、啓一郎が通う剣道場の若先生・栗栖勝太郎役だったけど、脇に使うには癖が目立ちすぎるかな。

 渋味のある癖なら脇で使うと良いんだろうけど、若いからか悪目立ちするタイプの癖なんだな。声とか粘っこいわりに青いから脇だと不快になる。畑中くんは、若いうちは主演で叩いて年取ったら良い脇も出来る役者にすると良いかも、などと素人考えをしてみる。でもあれか、歳食ってから主演降ろされるのはプライド傷つくか・・・。

 キャラメルって脇まで良い役者が多いから、本当は出演者全員の感想を述べたいけれど、長くなるからこの辺で。

 総括として、素直に笑って素直に泣ける素敵な舞台でした。

 本当はもっと見たかったんだけどね・・・。

 キャラメルは舞台初心者を連れてっても外れないかなぁ・・・。どっちにしろ、気楽に楽しめる良い舞台を見せてもらえると言う安心感のようなものは2作見てみて感じました。

Amazonアソシエイト参加中