お芝居の方は、大野先生らしく史実にほぼ忠実。と言っても私も歴史に詳しいわけではないので「たぶん忠実」ぐらいのことしか言えませんが。
しかし、今回、そこが仇になった感。
と言うのも、信長の半生を一幕でやるのでボリュームがありすぎて場面の進行がかっ飛ばし過ぎてて、見ている方を置いて行っている。そして、紙芝居のようにパンパン場面が切り替わるので理解が追いつかない。
結果として、歴史にそれほど詳しくない観客は話が分からず、「何が何だかわからない」ミュージカルになってしまっている。
魔王と呼ばれる信長を悪人のように書くのではなく、「こういう事情があってそういう風に見えてるだけで、実はいい人なんだよ」と言う観点を一本筋を通しているのは評価できる点ですし、南蛮文化に興味のあった信長とロックと言う組み合わせはとてもよくあっていて素晴らしいと思うので、欠点がとても残念でなりません。
大野先生の書いた信長役は、龍真咲に実にぴったりでしたね。下級生にまで名前のちゃんとついた役があると言う状況は、個性派月組にはうってつけの台本と言えるかも。そのせいか、生徒さんが生き生きと舞台を生きていましたね。
さて、ショーは(゚Д゚)@謎大好きファンタジスタ藤井。
ちなみに、藤井先生は生後三か月で観劇して食い入るように舞台を見ていたそうですが、私はほぼ同じ条件で「爆睡」していたそうです。食い入るように見てる子なら今頃演出家になってたのでしょうか(笑)
余談はさておき、藤井先生のキーワード「アイドル」を残しつつも今回は全体的に上品にまとめ上げていました。とてもきれいなショーになっていましたね。
めくるめく夢の宝塚。
とくに、月色の・・・イメージの月の色・黄色ではなく、本物の月の色・淡いクリーム色の衣装の場面(大詰めかな?)は知らず涙があふれました。言葉にできないぐらい良い場面です。月組全体で表現する、その真ん中に龍真咲がいる、本当にいい場面でした。
それにしても、生徒さんがほとんどわからないので生徒一人一人がどうかと言う見方ができないのですが、今は壊滅的に歌が下手とか芝居がイマイチとかなくて安定してますね。でも、その分、昔のような強烈な輝きや個性も失われているように思います。
岡目八目でみていて、「お、この子!」てのがないんですよね。傍から見ている私を宝塚の中へ引き込んでくれる子が見つからない。
いまだに贔屓が居ないのもその辺に原因があるのかしらん?