海外の作品は、往々にして日本人の感覚に合わない場合がある。
この作品が思いっきりそれだった。
アダム・クーパーも他の演者も素晴らしいダンサーだしセリフ回しも素晴らしい、演奏も舞台装置の芸術性も高い。すべてにおいて本当に素晴らしく、これを日本で見られるのは贅沢だと思う。脚本を除いては。
脚本と言っても、ウィキペディアで調べるとそもそもこの話自体が、私が見た筋なので改変しているわけでもない。
そう、これをもともと作ったフランスとも、本舞台の作成にあたったイギリスとも日本人の感覚が違うということではないかと。
と言っても、最後の終わり方が「へ?」ってかんじなだけですがね。
以下、ネタバレしてご説明。
↓↓ネタバレ注意
~ストーリー~
兵士は休暇を取って故郷へ帰る道すがら、悪魔に誘惑されて魂のヴァイオリンと魔法の本を引き換えにしてしまう。しかし、字の読めない兵士は悪魔に字を教えてもらう代わりにヴァイオリンの弾き方を教えるため、素晴らしい夢のような場所で三日間を過ごす。
しかし、じつは3日は3年だったのだ。母も婚約者も村人たちも、みんな兵士を幽霊のような目で見て忌み嫌った。しかも婚約者は別の男と結婚して子供も作っていた。
失意に暮れた兵士は村を出て、魔法の本を使って金儲けをする。
魔法の本は債権・相場・株・金などの未来の価格を書いてあったり、商売を成功させるためのことが書いてあったのだ。
だが、兵士は金に不自由しない生活を送っていても幸せではなかった。
兵士は本を捨てて旅に出る。
なんだかんだあって旅先でであった王女と結ばれるのだが、悪魔が「この国にいるときだけの幸せだ。一歩でも国を出たら分かってるな」と呪いをかける。
話を回す兵士によりそう男が言う。
「ひとつの幸せはあっても、ふたつの幸せはない」(みたいな意味)
幸せに暮らしていた二人だが、王女が問う。「あなたの過去は?」
そして王女が言う。「あなたの村に帰りましょう」
悪魔の呪いが気になって、はじめは拒否した兵士だが、望郷の思いは断ち切れず国の外に出てしまう。
たちまち悪魔が現れ、王女もヴァイオリンも何もかも奪い去り、兵士は悪魔に穴にヴァイオリンとともに落とされる。
で、おわり。
落とされた後、何のセリフも説明もなく役者が居なくなって終わる。
終わりが分からないから観客は拍手しない、出来ない。それで指揮者が拍手しだしたので初めて観客は困惑しながら拍手すると言う・・・。
やみーがひーろがーる♪
ならず、とまーどいがひーろーがーる♪な会場。戸惑いが広がるのが肌で感じられるのってそうないですな。
まあ、バレエも音楽も最高ですので、別に悪いわけではないです。最後さえ納得のいく終わり方ならむしろ最高の舞台です。
あと、ミュージカルとは違う、バレエとも違う、バレエと芝居と音楽の融合と言うのは初めてで新鮮でした。
バレエ好きの方はお勧めですよ。