うわああああ、これ見たの12月20日だったのかぁぁぁ!!!!
今更ジローな感想です。
サマーツアーの「カレッジ・オブ・ウインドウ」が2007年に見た中で最高の舞台かと思っていましたが、この「トリツカレ男」はその上を行きました。
季節柄もあったかも知れませんが、
鼻水垂れ流すほど泣いた
のです。汚い話だけど、本当ですってば!!
んなわけで~、だいぶん過去の話なのでネタバレバレで感想文↓
(いつものように楽天ブックスにとびま~す)
この本を原作として舞台化した作品。
何かに取り憑かれたら一直線。極めるまで、次に何かに取り憑かれるまで没頭してしまう男、ジュゼッペが主人公。
取り憑かれたものを極めても、何一つとして役に立ったためしがないから町中の人達から馬鹿にされて、「トリツカレ男」なんて呼ばれても気にしない。
そんなジュゼッペが、ロシアから来た貧しい少女ペチカに恋をした。
そう、恋に取り憑かれたのだ!!
というのが、ま、簡単なあらすじなワケだけども、これが奥が深いのだよ、君。
(誰に向かって話しとんねん)
ジュゼッペは「自分のために取り憑かれているだけ」だから、はなっから習得した技術を役に立てようとか、それで儲けようとかまーったくかんがえてない。
だからいつまで経っても街のレストランのしがない店員のまま。
そんな彼が、恋に取り憑かれたと言うよりも、
「彼女の笑顔が見たい」
と言うことにトリツカレたものだから、普通の恋の行方とはぜーんぜん違う方向に行ってしまう。
それまでに習得したことで彼女の悩みや借金を全て解決しても、なにしろ「取り憑かれているのは自分がそうしたいと思うからそうしているだけ」なもんだから、彼女を救ったことを決して彼女に伝えようとはしない。
なんか、そこで「そうだよな~、何かに取り憑かれたようになってやる趣味とか仕事とかって、誰かのためじゃなくって自分のためだよな」って気づかされるんですね。趣味はともかく、仕事なんかは下手をすると「誰かのためにやってやってる」って言う気になっちゃう瞬間とかあるじゃないですか。
ジュゼッペみたいに「自分のため」にやってるだけなんだよね、やりたくてやってる仕事は。
さてさて、そんな感じでペチカに笑顔が戻ってくるのだけれども、それでもまだ彼女は心から笑っていないことにジョゼッペは気づく。
その原因は、フィアンセからの連絡が来なくなったことだった。
そこで、普通なら「そこにつけ込め~~~、つけ込んでくっついちまえ~~」ってなもんですが、どこまでも「彼女の笑顔が見たい」事に取り憑かれたジュゼッペはそうしない。どうして連絡が来なくなったか調べるのだ。
そして、そのフィアンセが事故で死んでしまったことをしる。
またまたそこで、「よーし、ジュゼッペ!!君が慰めてあげるんだ!!!」と思うじゃないですか。思いますよ。
ところが、ジュゼッペはそのフィアンセのタタン先生になりきって彼女に会う道をえらぶっちゅう・・・。
お前馬鹿か!!!
と、真剣に舞台に向かって叫びかけました。
そう、それぐらい、舞台に取り込まれて手に汗握ってジュゼッペの恋を応援していたんですよね。
そこから先がもう、ジュゼッペの純粋さと事態の悲惨さに涙があふれてあふれてしょうがなかったです。
だって、トリツカレ男だもん。
どんどん、どんどん、ジュゼッペがタタン先生になって行っちゃう。しかも、タタン先生とジュゼッペは役者が違います。なのに、ジュゼッペが私の目にもタタン先生に見えてきちゃうんです。
ジュゼッペのそばで心配するハツカネズミのトトと一緒に本当に心配になっちゃうんですよ、
このままジュゼッペはタタン先生になっちゃうの!?
ジュゼッペは居なくなってしまうの!?
もー、ここで大泣きですよ。
切なくて切なくて。トトが必死になって止めるし、お姉さんも妹も毎晩寒空の下でペチカと会話するために病気になって身体が弱ってきたジュゼッペを止めるんだけども、ジュゼッペはそれでもペチカの笑顔が見たくて夜、雪の降る中を街に出る。
そこでもう、鼻水ダラダラです(きたねー)。
死にかけた所へタタン先生(幽霊?)が現れて、これまた感動的な言葉を静かにジュゼッペにかけるわけだ。飾った言葉でもなんでもない、素朴な言葉の数々なのに、もう、涙はボロボロこぼれるわ、鼻水はダラダラ垂れてくるわで大変でした。
そして、もちろん、ハッピーエンド♪が待ってました。
暖かいほかほかで柔らかい焼きたてのパンみたいなハッピーエンド♪
この、感動的な話をいつものキャラメル調で爆笑を織り交ぜながらテンポ良く進めていきます。もう、笑ったり泣いたり大変ですよw
ゲラゲラ笑って、ダラダラ泣いて、最後にホンワカと幸せになれる最高の作品でした。
あと、役者がどうだとかこうだとか、今回は考える間もないぐらい作品に入り込んでましたね。強いて言うなら、畑中君(ジュゼッペ)がタタン先生のマネをし出したときにおもわず
「一人二役だったっけ!?」
とパンフを確認したときぐらいですかね、役者ってもんを意識したのは。
逆に言えば、それぐらい作品としての完成度が高かったし役者の出来も最高でした。
あー、本当はもう一回見たかったな~。残念。