謎のブログ

謎の生物(゚Д゚)@謎が書く謎のブログ。気の向くまま風の向くまま。

嵐になるまで待って(演劇集団キャラメルボックス サンシャイン劇場 8月15日19時)

 たぶん、今年初めてのキャラメルボックス観劇です。ブログを見直したら12月の「トリツカレ男」以来。

 そのせいか、期待しすぎていたのかも知れません。

 キャラメルでは4回目の再公演。再公演であると言うことは、それだけ完成度が高い、ということ。そして主人公のユーリ役の渡邊安理はこの役をやりたくてキャラメルに入ったという入れ込みよう。

 それだけの前振りがあれば期待しない方がおかしい。

 が、見終わった結果は「話的に破綻はあまりないかもしれないけど・・・ぬるいなぁ」と言う感想でした。

 もちろん、キャラメルらしく、笑いどころは外さないし、泣かせるところはキッチリ泣かせてくれましたけどね。だから、私が期待しすぎていたのかも知れない、と思うわけです。

 平均点以上最高点以下といった感じでしょうか。5500円分の価値はちゃんとあります。

 

 さて、以下ネタバレ入りの感想。

 

 「声が出ない」「気持ちを伝えられ無い、伝わらない」

 それがキーワードなせいか、波多野の姉・雪絵は聾唖者で手話が多用されるのですが、字幕スーパーがないので手話での会話は相手の受け答え(相手は台詞を言いながら手話を使う)と雪絵の表情による表現力に頼るしかない。

 雪絵役温井摩耶は十分な表現力で手話を使っているのだけれども、やっぱりちゃんとは分からない。そこでちょっと、いらついてしまう。

 もっとも、それが字幕スーパーを使わない狙いどころなのかも知れないけれど。

 あと、謎の男波多野と姉の繋がりが分かりにくいせいか、クライマックスで波多野が自殺する理由が直感的にわからない。

 あとで頭で考えて、

「ああ、波多野にとっては姉が全てだったから拒絶されて絶望したのか」

とわかる。見ていてすぐに分からないのはどうかと思うのだけど(私の感受性が悪いだけか?)

 それと・・・波多野の声とユーリ(渡邊安理)の声が同じって設定はくるしくないか?(苦笑)本当に同じなら納得するんだけど、実際に違うから違和感がありましたね。

 

 さて、役者には問題なし!!

 皆さん体当たりでそれぞれの役を演じていました。客演の土屋裕一さん、久松信美さんもキャラメルから浮くことなく、かといって埋もれることなく、いい感じでした。

 主演の渡邊安理は自信なさげなコンプレックスを抱えた女性の感じをよく表現しています。

 今回、大絶賛は雪絵役の温井さん。

 主演した「まつさをな」のときは「?」だった方ですが、今回は聾唖者の役と言うことで台詞で感情を相手役や観客に伝えられない分、ボディランゲージと表情、身体全身で言いたいことを表現するという難役を見事に演じきっていました。

 特にクライマックスでユーリを殺そうとする波多野に対して

「守ってくれなくても大丈夫。私は一人で大丈夫なのよ」

というような感じの言葉が、直接胸に響いてきましたね。分かりやすい手話表現だったからかも知れないけれど、でも、理解できたのは劇中で言うところの「二つの声」の2番目の心の声が聞こえたんだと、私は思います。

 後で広瀬教授が訳してくれるのですが、そこの部分が自分の感じたことで正解でビックリしました。

 それって役者として凄いよね。

 温井さんは大人の女性をやる方がしっくりくるので、主役をやるときは大人な話の落ち着いた役がいいんじゃないかなぁ。

 そして、広瀬教授役・西川浩幸の存在感。狂言回し役ですが、説得力のある言い回しと表現で話を引っ張っていました。

 それにしても、中学生のチカコ役の小林千恵が学制服に違和感が無く、ちょっと古いタイプの中学生だったけど、「生意気な中学生」という設定にバッチリはまっているのは一体全体・・・(笑)

 波多野役・細見大輔はなかなかの好演でした。

 スラッとした長身にハンサムなマスクはカリスマっぽい作曲家らしく見えるし、不思議な力を秘めて謎めいた雰囲気が漂っていて、ユーリが異常に波多野を怖がる気持ちがよく分かる。

 

 それにしても、今回客演を呼ぶ必要があったのかな?

 やっぱ、役者をお互いに貸し借りして勉強するのが演劇界なんでしょうか?宝塚ばっかりでその辺わかりませんけど。

 キャラメル役者だけでも十分出来たと思うんだけどなぁ。

 

 話自体は好きなので次に再演があれば、また見てみたいです。

 

 そうそう!!観劇した日は安理ちゃんの誕生日で、観客みんなで手話と声で「ハッピーバースデイ」を歌ってお祝いしました。

 キャラメルのこういうとこが好きですね。

Amazonアソシエイト参加中