アカデミー賞だのグローブ賞だの、わちゃわちゃと賞を受賞しているこの映画。
だいたい、賞を取ったからって良い作品だなんて限らない。そう、ひねくれ者の私なんかは思うので、前評判が良い作品ほど斜め45度で見ます。
でも、これは良かった!!!
なんか、「シカゴ」みたいなミュージカルを映画化したやつかな?と思ってたらその通りでした。もう、全編うた!歌!ソウル!リズム!グルーヴ!の嵐嵐嵐!!!
ストーリーも、3人の女性のサクセスストーリーと思いきや、人の心のすれ違いや行き違い、成功によって大事なモノを見失ったりと「音楽界で大成功!めでたしめでたし」では済まない。登場人物一人一人の苦悩や心の機微が伝わって来る。
それも、ここぞと言うときにはド迫力の歌と演技で観客に迫ってくるんだから参った!!!
俳優といえば、アカデミー最優秀助演女優賞を受賞したジェニファー・ハドソンにまず注目が行くわけだけど、「助演!?」と思うぐらい最初は主役のようです。パンチの効いた歌声に強烈な存在感。その歌唱力ときたら圧巻。しかも、演技力も申し分なし。
そして、「え?エフィ(役名)が主役じゃないの?」と思っているうちに、ビヨンセ演じるディーナがリードボーカルに指名されてから一転する。
そのカリスマ性、迫力、そして美貌。リードボーカルに指名される前は正直、「後ろの二人のどっちがビヨンセなの?」っていうぐらいオーラもナニもなかったのに、その変わりよう!!!そりゃもう、ディーナが主役でしょう!と納得するぐらいの存在感。まあ、ビヨンセ自体がスターなのだから、スター性があっても不思議ではない。むしろ感心したのはスターになる前の芋っぽさや平凡さの演技において。
それが無くてはエフィの苛立ちやわだかまりは理解されにくいんじゃないだろうか。
もちろん、他の俳優陣も素晴らしい。なんというか・・・それぞれにそれぞれの人生や考え方が感じられて、あまり「誰それが主役」という感覚があまり無い気がした。みんなが主役、そんな感じ。
時代背景も押さえられている。日本人の私たちにはわかりにくいが、おそらくアメリカ人とりわけアフリカ系のアメリカ人には「こんな時代があった」と思い出すのだろうな、というシーンが幾つかあった。アメリカの歴史をよく知っていれば、また違った映画の魅力に気づけたかもしれない。
それにしても、アクション映画以外でこれほど「映画館で見なきゃ!!本当の良さはわからないわよ!!」と言いたくなる映画もめずらしいかも。
家で見るには、ホームシアター級の音響設備が欲しいもの。
生の舞台でも見たかったな。あ~、日本人の歌が下手くそな話題作りだけの配役の舞台なんてごめん被りますよ。映画と同じぐらいの技量を持った役者での舞台がみたいです。
日本人にはまず無理、歌が全く駄目だと思う。